歯科コラム
レセプトの見方がわからない方へ〜記載されている内容を解説〜
レセプトは、医療報酬の明細書のことで、これを作成することをレセプト業務と呼びます。
レセプト業務は、組合健保や市区町村などの健康保険の「保険者」に「診療報酬を請求する」重要な業務です。
今回は、レセプトの点数計算や保険料、公費(国または公共団体の費用)で医療費などを詳しく紹介します。
関連記事:レセプトって難しいの?〜業務の内容と進め方を徹底解説〜
目次
レセプトの見方と点数計算
レセプトの見方と点数計算について解説します。
レセプトの見方
レセプトを作成するには、以下の内容を把握することが大切です。
【点数計算】
診療ごとに決められた点数と、加算点数を合計したものをレセプトに記載します。
加算点数は、夜間診療や診療の複雑さなどにより、異なります。
【保険料】
保険種別、年齢、性別などに応じて保険料は異なります。
【公費負担金額】
国や公共団体の費用を「公費」と呼び、医療費の一部を公費で負担すると、「公費負担金額」として決められた番号をレセプトに記載する必要があります。
【医療材料】
医療材料とは、手術用具や医薬品、消耗品、診断機器などです。
使用量に応じて、材料費を計算します。
関連記事:レセプトの書き方が難しい…記載内容や注意点を紹介します
レセプトの点数計算
レセプトは、1点(診療報酬)=10円で、10円未満は四捨五入して支払い額に反映されます。
そのため、項目ごとに点数であらわす必要があるのです。
点数を10倍すると、医療費になります。
日本では、中央社会保険医療協議会により、診療報酬が決められ、2年に1度は改定があります。
たとえば、診療報酬が200点の場合でみてみましょう。
・200(点)×10(円)=2000(円)
2000円が医療費です。
ただし、保険の種類によって、2000円のうち何割を自己負担するか決まりますので、窓口で実際に支払う金額は全員が同じではありません。
負担率が3割の会社員のケースをみてみましょう。
・2000×0.3=600円
600円が実際に窓口で支払う金額です。
医療保険の仕組みと負担額
ここからは、日本の医療保険の仕組みや患者の負担額、保険者の負担額を解説します。
医療保険の仕組み~保険者と被保険者~
被保険者は、保険料を所得に応じておさめれば、被保険者証(保険証)を受け取ることができます。
保険証を提示し、保険を使った医療「保険診療」を受けた場合は、患者(被保険者)は年齢や収入に応じて、医療費を負担します。
最大で、3割の医療費を負担し、残りは保険者が負担するのが医療保険の仕組みです。
医療機関は、保険者に対して「診療報酬明細書(レセプト)」を作成し、提出することで残りの医療費を請求することができます。
関連記事:レセプト請求とは?オンラインで請求する流れを解説!
健康保険の種類
保険は、大きく分けて2つあります。
- 国民健康保険は市町村が負担
- 社会保険は組合が負担
国民健康保険の加入者対象は個人事業所を対象に、同種の事業や業務に従事する人とその家族です。
社会保険の加入者対象は、従業員とその家族です。
保険診療は、国によって診療報酬が決められているため、どの医療機関で受けても一律の金額です。
一方、保険適用外の「自由診療」は、国によって金額が決められておらず、医療機関が金額を設定できます。
後期高齢者医療保険とは?
75歳以上の人(一定の障がいがあると認定され、加入を希望する場合は65歳以上の人)は、後期高齢者医療保険の対象です。
75歳以上であればすべての人が対象となり、働いていたとしても加入できます。
保険料は年金から天引きで、すべての加入者が払うのが原則です。
今まで加入していた医療保険から脱退し、自動的に後期高齢者医療制度の加入者となるため、手続きはいりません。
ただし、会社に勤めている方の扶養として社会保険に加入していた場合は、国民健康保険への加入手続きがいる保険です。
医療費の負担割合
国民保険、社会保険、後期高齢者医療保険に加入している人の、一部負担(自己負担)割合をみてみましょう。
- 75歳以上の者は「1割」(現役並み所得者は3割)
- 70歳から74歳までの者は「2割」(現役並み所得者は3割)
- 70歳未満の者は「3割」
- 6歳(義務教育就学前)未満の者は「2割」
(出典:厚生労働省_医療費の一部負担(自己負担)割合について より)
公費とは?
法律や条例に基づき、医療費の全部または一部を国や地方自治体が「公費」で負担する制度で、医療費助成制度のひとつです。
子ども医療やひとり親、生活保護の制度を受けている方は、医療費を国や自治体が「公費」で負担します。
公費を利用している方の場合、
- 法別番号「2桁」
- 都道府県番号「2桁」
- 実施機関番号「3桁」
- 検証番号「1桁」
以上の8桁の「公費負担者番号」と、公費負担医療制度の種類ごとに決められている「法別番号」がレセプトに記載されています。
レセプトの記載内容を把握して確認に役立てよう
レセプトは、作成するだけではなく確認する作業が大切です。
計算方法や保険料、公費を理解して、レセプトに記載されている内容を把握しておけば、スムーズに作業が行えます。