歯科コラム
歯科医不足の時代がくる!?超高齢化社会で高まる進化型歯科医療の需要
既に歯科医院の数はコンビニエンスストアよりも多いとあって、歯科医の数は飽和状態。
「いずれ、歯科医の供給が需要を上回る」と、まことしやかにささやかれていました。
しかし、ここにきて急速に「このままでは歯科医不足の時代がくるかもしれない」という見方が広がっています。
いったいどういうことなのでしょう?詳しくみていきましょう。
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目次
本当に歯科医の数は多すぎるのか?
令和元年に行われた厚生労働省の調査によると、全国の歯科診療所の数は68,500件でした。
それに対して全国のコンビニの数は55,620店とされていますから、歯医者がコンビニよりも多いというのはまぎれもない事実です。(参考:「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」)
子どものむし歯が問題視されていた昭和の時代、「歯科医院は開業すれば儲かる」といわれて言われていたこともあり、その数はどんどん増えていました。
しかし30年以上の時が流れ、国民のむし歯罹患率が大きく改善された昨今。
口内環境がよくなった結果、「将来、歯医者へむし歯治療に来る患者がいなくなる」ともいわれ、歯科医の将来性が危惧されるようになりました。
しかし、本当に歯科医の数は多すぎるのでしょうか?
厚生労働省の資料によると、この先の日本では、歯科医の数が減少する見込みが提示されています。
というのも、まず国の方針として、歯科医の養成機関、つまり歯科大学などですが、それらを削減する方針となっているのです。
この方針は、歯科医師の「質」の保持を目的としており、そのためにも合格基準の見直しが行われました。
その結果、歯科医師国家試験の難易度が上がり、合格率が年々下がっているという事実があります。
平成18年の歯科医師国家試験の合格率は80.8%にのぼりましたが、令和2年の合格率に至っては65.6%。つまり15.2%も合格率はダウンしているのです。
次に、高齢化社会の深刻な加速です。
現役の歯科医の高齢化が進んでおり、10年後にはリタイアする歯科医が続出します。
こうした理由から、将来は単純に歯科医の人数が減る見込みなのです。
現状で歯科医不足の傾向はあるのか? 医師の偏在
では、現状「全国の人口に対する歯科医の数が不足している傾向はみられるのか?」という点が気になりますが、答えは地域差があるといえます。医師の偏在、と問題にもなっています。
1970年(昭和45年)当時、人口10万人に対して医療施設に従事する歯科医の数は35.2人でした。
その後も年々増加をみせ、2018年(平成30年)には80.5人までの伸びています。
ただ、2016年(平成28年)から2018年(平成30年)の2年間の伸び率がたったの0.5%と、近年の伸び率が驚くほど鈍くなっているのです。
また、都道府県別の人口10万人に対する歯科医の数をみると、最多の東京都が約120人、最少の福井県では約60人。地域によって約2倍もの差があります。
供給過多の一方であるといわれていた歯科医の数ですが、地方によっては増加率がきわめて低い、もしくは歯科医の数が減少しているというエリアがみられるようになってきました。(参考:「歯科保健医療に関する最近の動向」)
将来、歯科医の役割が変わってくる!?
今後、歯科医の数が減少する見込みであることは明らかであるのはお解りになったでしょう。
しかし、将来、歯科医不足の時代がくる理由は、単純に人数だけの問題ではありません。
これから10年後、20年後、高齢化社会の傾向はますます深刻化します。
生産年齢の人口割合が大きく低下したとき、歯科医に求められるスキルは、過去のものとは大幅な変貌をみせることが予測されます。
高齢になっても健康で快適に生きるための「健康寿命の延伸」には、口腔機能の管理が重要となる「オーラルフレイル」が、人々の常識となる時代が到来するでしょう。
歯科医に求められるスキルや役割、働き方が、過去から現在の既存のスタイルとかけ離れたものになっていく可能性があるのです。
歯科医が駐在する施設は歯科医院だけでなく、リハビリテーション・ケア施設など幅広い領域での活躍が期待されるようになるかもしれません。
そうなると、単純に歯科医の人数が減るからという頭数などでは語れない「圧倒的な歯科医不足」になることが考えられます。
歯科医不足の時代が到来する未来は遠くない
超高齢化社会を迎え、国民が生涯にわたり口腔機能を保つことで健康寿命を延伸するために歯科医療を必要とする、一人ひとりにかかりつけ歯科医がいる、それがあたりまえの世の中になっていく可能性がみえてきました。
近い将来、進化型の歯科医療の需要が高まり、歯科医不足の時代が到来することになるでしょう。
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