デンタルウェブコラム
将来性あり?英語もOK「歯科オンライン診療」のメリット・デメリット

新型コロナウイルス感染防止の特例ではありますが、歯科でも初診からのオンライン診療がはじまっています。
2020年の4~5月頃は自粛のため患者が大幅に減り、オンライン診療への注目度が高まりました。
中には、慌てて届出はしたけれど最近になって「やっぱり歯科にオンライン診療は必要ないのでは?」と思いはじめている人もいるかもしれません。
けれども、本当にそうでしょうか?
今後も少子化社会の加速や院長の高齢化といった問題がありますし、再び今回のようなパンデミックや自然災害に見舞われないとは限りません。
コロナ禍が終息した際には、インバウンドの波が戻ることにも期待できます。
コロナ禍以前、2019年の訪日外国人数は3000万人を超えていました。
ますます外国人の流入量が増える新しい時代が到来した時、周りの歯科では英語対応のオンライン診療があたりまえの世界になっていたとしたら……?
今回は、歯科オンライン診療の将来性や、メリット・デメリットについて改めて確認してみたいと思います。
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意外に多い!オンラインでできる歯科診療
そもそも、「歯科診療をオンラインでできるのか?」という疑問があるかもしれませんね。
治療こそできませんが、制約の中でも意外とできることは多いといえます。
これまで歯科領域のオンライン診療は、かかりつけ医の再診のみに活用されていました。
ビデオ通話というよりも、電話での対応がメインです。
それでも、10年以上前からオンライン診療に力を入れている歯科医は存在しました。
というのも、歯科診療でも問診が中心になるケースがあるからです。
口腔外科の領域や、治療後の経過観察などです。
現代人は多忙ですから、常飲薬の処方や抜歯後の経過観察のためだけに通院するのは負担だ、と考える人も多いです。
スケジュールをやりくりして訪れたとしても問診のみで、診療室での滞在時間がほんの1~2分ほどで終わるケースもありますから、非常に無駄が多いともいえます。
また、訪問歯科診療の現場にいる歯科衛生士に、歯科医がオンラインでつないで診療指導を行うこともできます。
こうしたオンライン診療の多様な使途に早くから気づき、積極的に遠隔診療を取り入れていた歯科医も存在しました。
歯科オンライン診療のメリット①
オンライン診療には、「歯科受診のハードルを下げる」というメリットがあります。
多くの人は「できるだけ歯医者さんに行きたくない」という気持ちを持っているのではないでしょうか?
その多くは、歯科治療に対する苦手意識があるからです。
そのため、意外に「歯科医院に行くほどではないけれど、本当は歯科医に相談したいことがある」という人は多く存在します。
なかなか治らない口内炎、顎がバキッと鳴る、ホワイトスポット、くさび型欠損、骨隆起などの症状について「これは何?」という悩みを持っている。
または、矯正治療やホワイトニングといった審美治療に興味があるものの足を踏み出せずにいる。
そんな患者予備軍は大勢います。
このような方々は自分からなかなか動き出すことができない層ですが、自宅に居ながらスマートフォンやタブレット、パソコンから気軽にできるオンライン診療なら、歯科診療のハードルが下げられるというメリットがあるのです。
歯科医と1対1のオンライン診療なら、患者側も「診療室では緊張してしまうけれど、ビデオ通話なら聞きたかったことが質問できた」「矯正治療の分割払いができることまで教えてくれる、話しやすい先生で安心した」といった印象をもてるため、スムーズに次の来院につなげることができます。
歯科オンライン診療のメリット②
オンライン歯科診療の2つ目のメリットは、「どこでもいつでも対応できる」ということです。
歯科医としても、オンライン診療ではなく「遠隔健康医療相談」という一般的なアドバイスをする医療相談なら、どこにいても対応できるというメリットがあります。
例えば口腔外科の分野なら、顎関節症などの対策として咬筋ほぐしや唾液線マッサージ、お口の体操といった一般的なケア知識を指導することができます。
医療相談なら自宅や出先からもできますので、常に診療室にいる必要がありません。
スケジュールの立て方しだいで、さまざまな可能性が広がります。
なにより将来を見据え、有事の際にも役立つ武器を今のうちにもっておけることはメリットといえるでしょう。
また、オンライン診療OKの歯科医院の場合でも、英語対応が可能なところはわずかです。
歯科診療のハードルを下げ、広く集患するためにも英語対応可にしておくのは有効といえるでしょう。
歯科オンライン診療のデメリット
オンライン診療のデメリットとしては、医師法に抵触しないように、制度についてしっかり理解してから実施する必要があるという点です。
オンライン診療なら保険診療と保険外診療がありますが、医療機関で行う必要があります。
医療相談だけなら自宅からでも行えますが、個別の診療はできません。
また、保険外診療のみです。
オンライン診療を実施する際には、認められている診療範囲や得られる点数など、制度をしっかり理解することが大切です。