歯科|増患・集患 

歯科オンライン診療のメリット・デメリットを詳しく解説

新型コロナウイルス感染防止の特例ではありますが、歯科でも初診からのオンライン診療がはじまっています。

2020年の4~5月頃は自粛のため患者が大幅に減り、オンライン診療への注目度が高まりました。 その2020年4月には、歯科診療において電話や情報通信機器を使った診療が時限的・特例的に認められました。 しかし、歯科に特化したオンライン診療の指針は明示されていなかったため、2021年11月に「ICTを活用した歯科診療等に関する検討会」が設置され、議論の末に指針が策定されました。

中には、慌てて届出はしたけれど最近になって「やっぱり歯科にオンライン診療は必要ないのでは?」と思いはじめている人もいるかもしれません。

けれども、本当にそうでしょうか?

 

今後も少子化社会の加速や院長の高齢化といった問題がありますし、再び今回のようなパンデミックや自然災害に見舞われないとは限りません。

また、コロナ禍が終息し、インバウンドの波は回復基調であり、今後ますます外国人の流入量が増える新しい時代が到来した時、周りの歯科では英語対応のオンライン診療があたりまえの世界になっているかもしれません。

今回は、歯科オンライン診療の将来性や、メリット・デメリットについて改めて確認してみたいと思います。

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意外に多い!オンラインでできる歯科診療

そもそも、「歯科診療をオンラインでできるのか?」という疑問があるかもしれませんね。

治療こそできませんが、制約の中でも意外とできることは多いといえます。

 

これまで歯科領域のオンライン診療は、かかりつけ医の再診のみに活用されていました。

ビデオ通話というよりも、電話での対応がメインです。

それでも、10年以上前からオンライン診療に力を入れている歯科医は存在しました。

というのも、歯科診療でも問診が中心になるケースがあるからです。

口腔外科の領域や、治療後の経過観察などです。

 

現代人は多忙ですから、常飲薬の処方や抜歯後の経過観察のためだけに通院するのは負担だ、と考える人も多いです。

スケジュールをやりくりして訪れたとしても問診のみで、診療室での滞在時間がほんの1~2分ほどで終わるケースもありますから、非常に無駄が多いともいえます。

また、訪問歯科診療の現場にいる歯科衛生士に、歯科医がオンラインでつないで診療指導を行うこともできます。

こうしたオンライン診療の多様な使途に早くから気づき、積極的に遠隔診療を取り入れていた歯科医も存在しました。  

オンライン診療の6つの類型

歯科における歯科医師と患者さまの間で行われるオンライン診療には、主に以下の6つの類型が考えられるとされています(参考:「歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針:厚生労働省」)

 

Dentist to Patient

患者が直接遠隔地の歯科医師とオンラインで診療を受ける。患者のそばに他の医療従事者は同席しない。

 

Dentist to Patient with Dentist

患者側にかかりつけの歯科医師が同席し、遠隔地の専門歯科医師と連携して診療が行われる。

情報共有がスムーズになり、歯科医療資源が限られた地域でも高度な治療が可能。

 

Dentist to Patient with Dental Hygienist

患者のそばに歯科衛生士が同席し、衛生士のサポートを受けつつ遠隔地の歯科医師が診療する。

患者と歯科医師の円滑な意思疎通が図れる。

 

Dentist to Patient with その他医療従事者

看護師などの他の医療従事者が同席し、診療がサポートされる形態。

医療従事者が支援することで診療がスムーズに行われる。

 

Dentist to Patient with オンライン診療支援者(医療従事者以外)

医療従事者ではないサポートスタッフが患者のそばにいて、通信機器の操作などをサポートする形態。

オンライン診療が円滑に進む。

 

Dentist to Patient with Doctor

医師が訪問診療を行う際に遠隔地の歯科医師がICTを活用して連携する形態。

医師と歯科医師の連携によりスムーズな医療提供が可能になる。

 

 

歯科オンライン診療のメリット

歯科におけるオンライン診療のメリットを解説します。

 

患者様の負担が軽減され、受診のハードルが下がる

歯科のオンライン診療には、「歯科受診のハードルを下げる」というメリットがあります。

多くの人は「できるだけ歯医者さんに行きたくない」という気持ちをお持ちです。

それは、歯科治療に対する苦手意識があるためです。

そのため、意外に「歯科医院に行くほどではないけれど、本当は歯科医に相談したいことがある」という人は多く存在します。

例えば、

 

・なかなか治らない口内炎、顎がバキッと鳴る、ホワイトスポット、くさび型欠損、骨隆起などの症状について「これは何?」という悩みを持っている。

・矯正治療やホワイトニングといった審美治療に興味があるものの足を踏み出せずにいる。

 

そんな患者さま予備軍は数多く存在します。

そのような方々は自分からなかなか動き出すことができない層ですが、自宅に居ながらスマートフォンやタブレット、パソコンから気軽にできるオンライン診療なら、歯科医院に出向くという時間と体力的な負担がなくなり、歯科診療のハードルが下げられるというメリットがあるのです。

 

歯科医と1対1のオンライン診療なら、患者側も「診療室では緊張してしまうけれど、ビデオ通話なら聞きたかったことが質問できた」「矯正治療の分割払いができることまで教えてくれる、話しやすい先生で安心した」といった印象をもてるため、スムーズに次の来院につなげることができます。

 

患者さまへの迅速な対応が可能になる

オンライン歯科診療には、「どこでもいつでも対応できる」というメリットがあります。

歯科医としても、オンライン診療ではなく「遠隔健康医療相談」という一般的なアドバイスをする医療相談なら、どこにいても対応できるというメリットがあります。

例えば口腔外科の分野なら、顎関節症などの対策として咬筋ほぐしや唾液線マッサージ、お口の体操といった一般的なケア知識を指導することができます。

医療相談なら自宅や出先からもできますので、常に診療室にいる必要がありません。

スケジュールの立て方次第で迅速な対応を取ることができ、さまざまな可能性が広がります。

また、軽度の症状や急ではない問題であれば、オンライン診療で初期診断や指導を受けることができるため、早期対応が可能になります。

 

なにより将来を見据え、有事の際にも役立つ武器を今のうちにもっておけることはメリットといえるでしょう。

また、オンライン診療OKの歯科医院の場合でも、英語対応が可能なところはわずかです。

歯科診療のハードルを下げ、広く集患するためにも英語対応可にしておくのは有効といえるでしょう。

 

感染リスクの低減

ここ数年のように、世界的に感染症が蔓延している状況では、直接的な接触を避けることができるオンライン診療は、感染リスクを低減できるというメリットを持ちます。

リスクとしては、患者さまはもちろん、医療従事者側としても同様ですので、双方のリスクを減らすことができます。

感染症の懸念が大きい期間中であっても、オンライン診療であれば不安なく実施することができます。

 

地域差によるアクセス頻度の改善

例えば患者さまが歯科医院の少ない地域にお住まいの場合、来院に対する負担の大きさから、自然と足が遠のくことは自然なことであり、どうすることもできない部分でもあります。

しかし、オンライン診療では、遠隔地であっても対応可能であるため、負担なく頻度も高く専門的な診療を受けることができます。

 

治療後のフォロー

歯科のオンライン診療では、治療後のフォローアップを行うことも可能です。

例えば、インプラントや矯正治療など、継続的なケアが必要な患者さまであっても、経過観察や質問対応をオンラインで実施することで、来院の手間を省くことができます。

 

歯科オンライン診療のデメリット

オンライン診療には、実際に行うにあたってのデメリットも存在しています。

 

対面診療と同じレベルでの診療ができない

オンライン診療の場合、詳細な視診や触診、歯石除去、虫歯治療など、物理的な処置ができず、診療内容はどうしても限定されてしまいます。

また、仮に口腔内カメラなどを利用したとしても、画面を通じた診断では限界があり、対面であれば発見できていた問題を見逃してしまう可能性があり、診断における正確性が低下します。

 

通信環境や機器により思うような診療ができないことがある

オンラインで診療を行うということは、良好な通信環境は必須条件です。ですが、患者さま側の通信環境によっては接続が不安定になってしまったり、映像や音声が途切れてしまったり、特に患者さまがそうした技術に不慣れな場合にはまともな診療が行えない可能性があります。

 

医師法および倫理的な問題がある

歯科におけるオンライン診療では、法的に認められる診療内容が限定されます。医師法に抵触することがないよう、制度についてしっかり理解した上で実施する必要があります。

無診察治療は懸念点も多いため、慎重な対応が必要です。

他にも、オンライン診療なら保険診療と保険外診療がありますが、医療機関で行う必要があります。

医療相談だけなら自宅からでも行えますが、個別の診療はできませんし、保険外診療のみです。

オンライン診療を実施する際には、認められている診療範囲や得られる点数など、制度をしっかり理解することが大切です。

 

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