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歯科医院の開業におすすめの物件とは?前も歯科だった「居ぬき物件」は本当にお得?

歯科医院の新規開業には、最低でも5000万円かかります。


ところが、前も歯科医院をやっていた「居ぬき物件」での開業なら1500万円程度の開業資金でもスタートが可能です。

そこまでお得となれば、居ぬき物件での開業を考えない手はありませんね。


しかし、本当に居ぬき物件を利用した歯科医院の開業は、お得といえるのでしょうか?

 

お得どころかデメリットになることも



前も歯科医院であった物件の、内装や配管、レントゲン室などの設備を引き継いで開業するのが「居ぬき物件での開業」です。


つまり、地域住民や最寄り駅の利用者からすると、前からそこに歯科医院があったことは認知されているわけです。


前医院が退去に至った理由や評判によっては、メリットどころかデメリットにもなりかねません。



そういった理由から、仲介業者からは、居ぬき物件での開業に当たって「前医院の評判には要注意」というアドバイスをされるケースがほとんどです。



そういった本音のアドバイスをしてくれる仲介業者こそ信用できますし、パートナーとして選ぶべきといえるでしょう。

仲介業者が勧める優良な居ぬき物件とは?

 

ズバリ、結論から申し上げると、前院長のリタイアによる引き続きです。
 

前医院が撤退し、居ぬき物件として売却や賃貸に出されている理由は、院長の病気・事故・死亡、経営不振による廃業、分院を任せる院長の人材不足、といったケースが考えられます。

それからもうひとつ、今後どんどん増えていくと思われるケースは、前院長のリタイアによる医院の引継ぎです。

高齢化社会が加速する現在、歯科医の役1割が70歳以上となっています。

歯科医院に勤務する歯科医の平均年齢はおよそ54歳。30年前から比べると、平均年齢は7歳ほど上がっています。


歯科医院がコンビニより多いといわれる過剰な状況で、開業しても儲からないという意識が高まり、歯科開業医を目指す若者は減少しています。そのため、高齢の院長には跡継ぎがおらず、閉院に至るケースが増えつつあるのです。この傾向は、今後もっと多くなるでしょう。

つまり、地域での集患のネットワークを築いた優良な歯科医院の居ぬき物件が増える未来が見えています。
こうした医院の売価は1000万円以上と高額になりますが、地域のかかりつけ歯科としての評判も得られていますからスムーズに引き継ぐことが可能です。

10年後、20年後の未来には、医院の売却費を自分の退職金としてハッピーリタイアする院長から、若い開業医が歯科医院ひきつぐスタイルが当たり前になるかもしれません。

優良物件の引継ぎに伴う懸念点とは?

 

しかし、こうした既存の医院を引き継いでの開業には懸念点があります。優良物件であるからこその不安材料があるのです。

前院長の評判が良ければ良いほど、新しい院長に求められる要望は高くなります。

患者さんによっては、別の医院に変わっていることにも気付いておらず「前はこうだったのに」という不満につながるリスクが高い状態なのです。

価格が高い優良物件で開業をスタートした場合、毎月の返済額も多くなります。なかなか軌道に乗れず、1~2年で断念して再び物件を売りに出す新人開業医も少なくありません。

開業したからには、できるだけ早期に安定経営の軌道に乗ることが大事です。
そのネックになるのは開業資金の返済です。


つまり、開業資金は少なければ少ないほど、経営が成功しやすいのは、目に見えたわかりやすい図式といえます。


ですから、仲介会社が勧めない格安の居ぬき物件を選ぶ方が、院長先生のタイプによっては成功への近道になるともいえるのです。


格安物件で開業を成功させる院長のタイプとは?


格安の居ぬき物件というのは、悪条件が揃っています。


アクセスが悪いとか、周辺からの集患が見込めないというのは問題外ですが、前医院の撤退の理由が経営手腕の無さからの廃業であったり、診療の評判の悪さなどであったりする場合は別です。経営のやり方によって集患が見込める物件でさえあれば、開業を成功させることは不可能ではありません。

その場合、「成功に至る院長のタイプ」には2つの特徴があります。

患者さんの立場や気持ちになって「患者目線」で取り組める

地域に向けて「前医院とは違う」という強い意志表示ができる

この2点を踏まえ、戦略的に経営を進めていければ、返済の負担が少ないことから早期に経営を軌道に乗せることも可能といえます。

ただし、格安物件で開業をスタートする場合、ある程度の追加費用はかかります。
上記のタイプに当てはまる「患者目線」を持つ院長なならお解りだと思いますが、前医院の悪い評判を払拭させるためには、外観や内装から伝わるイメージや清潔感はとても重要です。

その準備にかかる資金を節約しようとは考えず、改装費や設備投資などの準備はしっかりと行うことが成功への近道です。